筋肉よりも骨を使え

この本を買って一気読みしてました。 夕方あたりからの妄言は、この本読みながら思い浮んだ事をグダグダ書いてみたんですが、直接的には関係無い事を書いていました。

共著の甲野氏は、古武術の研究家で、古武術を生活に活かすお話とか、中学校のバスケット部にナンバを指導したとかいう話が前から話題になっていた方で、すごい人だなあと思っていた人なんですが、もう一人の松村氏は、今話題の100mスプリンター桐生選手とも交流があるスポーツトレーナーという事で、いろいろ面白かった。

筋肉よりも骨を使えという言葉の通り、体を動かしているのは筋肉ではなくて骨であり、筋肉はそれを支えているにすぎないという今までとは逆の発想で身体の動きを捉えている師弟の対談で、それはまさに天動説から地動説を唱えた、まさにコペルニクス的発想の転換といえるのではないか。

しかしその動きは、そもそも古武術の身法にこそ存在したものだが、ナンバを初めとした身法はすでに近代体育教育や、武道のスポーツ化のなかですでにほぼ失伝しており、それを(柔道・剣道なんかと比べると)細々と伝承している各流派や文献等から拾いあつめるように研究なされてきたのが甲野氏ではないか。なんか漫画のセイバーキャッツを思い出す。作者の山本氏と甲野氏の接点はググっても出てはこないものの、作中に登場する怒麻氏とイメージが被る気がするのは気のせいか?

話が逸れたが、まあ筋肉至上主義の現代スポーツは突き詰めていくと結局体を壊すだけで、体の自然な動きに逆らった身法で、体が動きたいように動かすというのがまあ本筋で、そのイメージが骨を動かすという言葉になっている。

私の理解だと、今迄の体の動かし方は、動かす筋肉を意識したトレーニングをしている。それはトレーニング自体が専門化されたものであって、実際に体をスムーズに動かす為のトレーニングにはなっていない。そこを、骨を動かすというイメージをする事によって、それを行なう為の複雑な筋肉の動きを意識しないで体を動かす事が自然と可能になるのではないか。まあそういう理解。体を動かす筋肉は随意筋な分、下手な思考が入ってしまって、何時も同じ動きをする事が非常に難しいのだけど、そこの複雑さを骨と関節を意識する事でパッケージ化して、全体として脳に記憶させてしまえば、体の動きが自動化されるんじゃないかな。とか思ったりしました。たぶん両氏が言ってる事はそういう事ではなく、まだ私も筋肉にとらわれているんだろうなあとは思いますが。

この本では筋トレどころかストレッチですら、逆に体に悪影響だそうで、いやはやまったく考えが大きく変りましたよ。

この本が出たのはつい先日の5/22のようで、桐生選手が9秒台の成績を出すと、日本のスポーツ界は変るなあと思ってワクワクした訳なんですが、そこらへんはやっぱり動きがあったようで、大人の事情で松村氏と桐生選手の接触ができない状況になったとかなんとか。

やっぱり地動説へ変えるのは難しいのですね。ううむ。